【嬉野】天ぷらふく田で絶品の天ぷらコースを堪能してみた

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今回は嬉野温泉街にある「天ぷら ふく田」をご紹介します。旅館大村屋の北川さんからの紹介コメントを見てみましょう。

大村屋・北川
旬の食材にこだわった高級天ぷら屋さんです。天ぷらが絶品なのはもちろんですが、牛たんしゃぶもぜひ食べてほしい。良い意味で嬉野らしからぬお店です!

ぼくは、もともと「高級天ぷら店」というものに疑問を持っていました。

高級な天ぷらって、何が違うんだ……?

いや、わかりますよ。わかります。なんかこう、仕込みとか違うんだろうなというのは。でも、ちょっと差がありすぎませんか?値段に。福岡の揚げたてが食べられる天ぷら、めっちゃ美味いですけど、定食の値段は1000円くらいです。

いったい、いつもの天ぷらと何が違うのか。今回は北川さんと一緒に行ってみました。

嬉野温泉街の湯っつら広場そばにある天ぷらふく田

天ぷら福田は、嬉野温泉街の和多屋別荘近く、「湯っつら広場」のそばにあります。紫の暖簾が目印です。

店内に入るとL字形のカウンター席で10名ほどゆっくり座れるようになっています。

都会的な洗練された雰囲気で、しっぽりと大人な時間を楽しむのにぴったりなお店です。

大村屋・北川
まずは乾杯しましょう!ここは、全国の中でも選ばれたレストランしか提供できない特別な美味しいビールが飲めるんです。
編集長・大塚
なんですか、このビールは?
店主・福田さん
「 ROCOCO Tokyo WHITE」というビールです。日本で始めての「ラグジュアリービール」というものです。

ROCOCO Tokyo WHITE

「特別な瞬間に寄り添う」ために生まれた日本初のラグジュアリービール 。 シルクのように優しくなめらかな味わいとフルーティーで華やかな香りが料理の味を引き立てるビールとして、料理人やソムリエから支持を受け、発売からわずか1年で100を超える星付きの飲食店で提供されている。 

ワイングラスに注がれる ROCOCO Tokyo WHITE。高級店でビールを頼むって、なんとなく気が引けるものだったんですけど、ここまでラグジュアリーなら恥ずかしくない。

編集長・大塚
初めて飲むスパークリングワインを飲んでるような感覚。でも、ビールなんですよね。香りがとっても華やか。ビールだと言われず出されたら、ビールだと思わないかも……。
大村屋・北川
爽やかでビールの苦味みたいなのが全然ないですし、ビールが苦手な方でもスーッと飲めそうですね。

天ぷらふく田のコースメニュー「楠」を堪能

今回は天ぷら福田の楠コースのメニューをいただきます。

まずは、先付。この日のメニューは、左から白烏賊刺塩辛、佐賀牛ローストビーフ、海茸粕漬でした。

スチームコンベクションオーブンを使ってじっくりと低温調理したローストビーフ。ふく田では調理水も店内で飲むお水もすべて高濃度水素水を使っているそうです。

先付のクオリティに感動し、その後のメニューも楽しみになります。

炙磯魚、槍烏賊、紫雲丹、縞鯵、サーモン、小菊、長野産本山葵
編集長・大塚
おお、刺身も出てくるんですね。
大村屋・北川
ふく田のお刺身、最高なんですよ。
店主・福田さん
よかったらお刺身に合う佐賀産の日本酒と一緒にお召し上がりください。

日本酒の器はどれもかわいくて、選ぶのもワクワクしちゃいますね。

店主・福田さん
佐賀県 東鶴酒造のやさしいお酒、純米吟醸生です。
大村屋・北川
さらっとした飲みごこちでお刺身のお供に最高ですね〜!

天ぷらふく田の実は美味しいメニュー「牛たんしゃぶ」 

牛たんしゃぶ 白葱 自家製酢醤油
大村屋・北川
これを大塚さんに食べて欲しかったんです!僕のイチオシです。
編集長・大塚
えっ!!!天ぷら屋で牛たん……?
大村屋・北川
まあまあ、食べてみてくださいよ。

きれいな牛たんを出汁につけて、しゃぶしゃぶ……。牛たんの色が淡く変化したら、素早く口の中に運びます。

編集長・大塚
う、うま〜〜!!なんですかこれは。お肉の旨味がすごい。あと、この自家製酢醤油がちょっとバルサミコ酢っぽくて、これもまたいいですね。
店主・福田さん
牛たん自体が少しクセがあるので、それを生かして美味しさをさらに引き出す酢醤油を研究したんです。初めはびっくりされる方もいるのですが、だんだんと、これがやみつきになると言っていただけるようになりました。
編集長・大塚
とはいえ、天ぷら屋で牛たんというのは、どうして……?
店主・福田さん
当初は「前座」みたいな形でお出ししていたんです。すると、天ぷら以上にたんしゃぶが注目されるようになって。
編集長・大塚
なるほど、サブ的に用意したものが人気になったんですね。
店主・福田さん
ただ、うちは天ぷらがメインなので。前座のたんしゃぶばかりが注目されて、悔しい思いをしたこともあったんです。だから、牛たんしゃぶは辞めようかと迷った時期もあります。
編集長・大塚
天ぷらに注目してもらうために、それも一つの選択肢ですよね。これが食べられなくなるのは寂しいけど……。
店主・福田さん
でも、考えを改めました。評判のたんしゃぶを超える天ぷらを目指せばいいだけじゃないか、と思いまして。現在では「牛たんも有名だけど、天ぷらはさらに美味しい!」と、関東をはじめ県外様々な地域からもわざわざ天ぷらを食べにきてくださる方が増えてきました。

天ぷらふく田の絶品天ぷらメニューの数々

ついにメインの天ぷらです。

店主の福田さんが、食材ごとに1番大事な衣の状態から揚げる温度・揚げ時間を変えながら、それぞれの美味しさを一番引き出せるように調理してくれます。

まず、登場したのは「天草産車海老の天ぷら」です。

車海老の頭の天ぷら 
大村屋・北川
車海老の頭の素揚げで、シンプルにお塩か、何もつけなくても美味しいですよ。

軽い食感だけど、風味は豊か。思わずにやけちゃう美味しさ。

車えびの天ぷら

車えびの身は、塩でいただきます。みずみずしい身から、豊かな車えびの甘みを感じます。塩でさらに、車えびの甘みがさらに引き立っていて、美味しい。

甘唐辛子の天ぷら

こちらは、宮崎県産の甘唐辛子(ピーマン)です。

てんつゆでいただきます。

揚げたてで熱い!ハフハフしながら、いただきます。

甘唐辛子の甘みとみずみずしさが衣で閉じ込められて、噛むと美味しさが飛び出てくる。てんつゆとの相性も最高。天ぷらって、こんなに美味しいのか。

次に出てきたのは、こちら。

編集長・大塚
これは、何……?
店主・福田さん
こちらは槍烏賊(ヤリイカ)の天ぷらです。フランス産の岩塩でいただきます。
編集長・大塚
青紫蘇と槍烏賊をロールしていて、手が込んでいますね。見た目にも美しいし……。槍烏賊の旨味と、青紫蘇の風味がよく合います。岩塩との相性もいいですね。
店主・福田さん
藻塩や岩塩など、食材に合わせて、おすすめする塩を選んでいます。
編集長・大塚
それにしても、美味しい。本格天ぷらにこだわりの塩って最強の組み合わせですね。
大村屋・北川
食材の仕込み方や、揚げ油の温度、揚げ時間、そして最後の調味料、全てを使ってポテンシャルを高めてから一番美味しい状態で食べさせてくれるのがふく田さんなんです!!

天ぷらふく田の「とうもろこしの天ぷら」の衝撃

とうもろこしの天ぷら
編集長・大塚
想像していた「とうもろこしの天ぷら」と全然違うのが出てきたぞ。
店主・福田さん
実は、本日のメニューの中で1位2位を争うくらい手間がかかっている天ぷらです。
編集長・大塚
「とうもろこしの天ぷら」が?意外すぎる。

普通は、とうもろこしの天ぷらって粒がバラバラになっちゃうので、とうもろこしのかき揚げになっちゃうと思います。

でもこの天ぷらは、とうもろこしの芯がないのに、粒がきれいに整列しています。これどうなってるの??

食べてみると、とうもろこしを齧っているような食感。これはまさに、整列させたからこそ。シャキシャキのとうもろこしの甘みがダイレクトに伝わります。

店主・福田さん
収穫したとうもろこしを一旦生のまま真空状態にして、その後低温でじっくり加熱します。完全に火を通さず7割くらいで仕上げて、その後さらに冷蔵庫で寝かせると、とうもろこしの粒同士がくっつきます。
編集長・大塚
な、なんという手間……。天ぷらのために、そこまでするのか……。
大村屋・北川
食堂の天ぷらとの違いが、だんだんおわかりいただけましたかね。塩をかけたらさらに、とうもろこしの甘みが引き立ちますね。

天ぷらふく田の芸術作品のような天ぷらに感動の連続

甘鯛の天ぷら

鯛の鱗が美しく立ってキラキラしていて、もはや芸術作品です。皮はサクサクなのに白身部分は本当にふんわりしていて、めちゃくちゃ美味しい……。

茄子の天ぷら

フワッフワの湯気をまとっての登場。口の中でジュワッと溶ける、ジュースを飲んでいるような水分量。

茄子は季節によって、品種を変えているそうで、品種によってジュワッと感が違うのだとか。いろんな季節の茄子を体感してみたい。

塩水雲丹 紫の天ぷら

最大限に甘みを引き出された雲丹を、カラっと揚げた青紫蘇に載せた天ぷらです。

編集長・大塚
クゥゥゥ!!サクッとした青紫蘇の爽やかな風味と、口の中で雲丹がとろけていくこの感じ、最高!!
大村屋・北川
大塚さん、今日はいつも以上に感動していますね。ぼくも紹介した甲斐があって嬉しいです。
ハマグリの天ぷら

丸ごとハマグリ?!と思いきや……。

パカッと開けると、中にハマグリの身を揚げた天ぷらが。サクサクの衣の中に、ふわふわのハマグリ。噛んだ瞬間に貝の美味しさが溢れてきます。

舞茸の天ぷら

天ぷらの衣にギュッと舞茸の旨味が閉じ込められた舞茸、うーん……絶品です。

アワビの天ぷら

海女さんにお願いして採ってきてもらった新鮮なアワビの天ぷらは、アワビの肝を使ったソースも美味。超美味。

揚げたアワビの下のソースは、アワビの肝をソースにした物なんだそうです。アワビには、ソースが絡みやすいように小さな切り込みを入れたり、工夫をしています。

カボチャの天ぷら

そしてこちらが、本日最後の天ぷらである「カボチャ」。生の状態から1時間弱かけてじっくりと天ぷらにしています。

何度も少しずつ揚げて、カボチャに火を通して、ホクホクの食感に仕上げていくのだそうです。「何度も揚げて焦げないのだろうか」と思うのですが、そこは焦げないように温度調整しているのだそうです。

大村屋・北川
天ぷらのカボチャの分厚さじゃないですね。
編集長・大塚
ホックホクの食感で、天ぷらというより煮物みたいだ……。煮込んでいないのに。カボチャの甘みが凄い。
大村屋・北川
サクっとしたあと、口の中でフワッとカボチャが溶けてもはやペーストみたいです。

天ぷらふく田の締めは「天茶」

海鮮かき揚げ天ぷらと香物

天ぷら屋さんの締めの定番と言えば、天丼か天ぷら茶漬けか、かき揚げなんだそう。ふく田の締めは天ぷら茶漬け!

毎日仕込む1番出汁をベースに嬉野ほうじ茶で天茶用に仕立てた出汁をかけていただきます。

このときの出汁は血合いを除いた鰹節・利尻昆布・乾椎茸ベースの出汁でしたが、こちらも季節や旬によって変えているそうです。

コース料理を盛り沢山食べていて、結構お腹いっぱいになってきていますが、ほうじ茶の良い香りにそそられます。

ズズッ……。

編集長・大塚
あはははははは。うまー!!あはははは。
大村屋・北川
思わず笑っちゃう美味しさですよね。締めだから、ご飯が控え目なのも嬉しいです。お茶をかけてちょうど良い量ですね。上の天ぷらはザクザク崩しながら食べてくださいね。

最後はデザートのわらびもちが出てきました。本わらびなので、少し黒っぽいのが特徴です。黒蜜も自家製で、沖縄の純黒糖を使っています。

編集長・大塚
いやー大満足です。コースでたくさんの料理をいただきましたが、締めの天ぷら茶漬けがご飯の量がちょうどよかったので、満足感はあるんですが、お腹パンパン!という感じではないです。
大村屋・北川
本当、ちょうど良いです。
店主・福田さん
食べ終わった時に、少し余韻がある方がまたすぐに食べて貰えるのかな、と思ってまして……。お客さまが腹8分目になっていただけるように、コース内容を調整しています。
編集長・大塚
何から何まで、最高でした。天ぷらって、美味しくて、面白い。ごちそうさまでした。

こだわりの食材と調理法で上質な料理を堪能できる天ぷらふく田

CHECK!
  • 産地、鮮度、品質など細やかなこだわりの食材を使用
  • 匠の技で素材の良さを最大限に引き出した天ぷら
  • 会話を楽しみながらゆっくりと過ごせる落ち着いた店内

これまで食べていた「天ぷら」とはまったくの別物でした。天ぷらって、こんなに奥が深くて、楽しい食べ物だったんですね。

天ぷらふく田は、本当に美味しい天ぷらをゆったりとした時間の中で味わえる、大切な人を連れて行きたくなるようなお店でした。

予約制であらかじめコースも選んでおくので、お店に入ったあとはただゆっくりと美味しいお料理を思う存分楽しめるというのも、おすすめポイントです。

九州では、まだあまり高級天ぷら屋さんに行く文化が少ないようで、ふく田のお客さまも関東や関西からわざわざ来られる方が多いのだそうです。

初めて行く方でも落ち着いて過ごせる店内なので、ぜひ、自分へのご褒美、大切な人との記念日、ご両親へのプレゼントなど、この機会に天ぷらやさんデビューしてみてください。


※掲載内容は、取材当時の情報であり、価格、営業時間、メニューなどは変更の可能性があります。現地でご確認ください。

【執筆・撮影】みたとも 【企画・編集】大塚たくま

執筆者
大塚 たくま
ライター。嬉野温泉暮らし観光Webガイド編集長。月に一度、嬉野温泉に宿泊した取材活動を2020年から継続中。