温泉食堂が独創的な絶品メニューだらけでロックだった

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今回は嬉野市嬉野町にある「温泉食堂」をご紹介します。温泉食堂は嬉野の地元住民から長年愛されている定食屋さんです。

旅館大村屋の北川さんからの紹介コメントを見てみましょう。

大村屋・北川
全種制覇すべき名店です。定食のメインは単品でも頼めるので、気になるのがあれば、シェアして食べて!私は1週間連続で通っても大丈夫です。

全種制覇……。1週間連続で通っても大丈夫……。ちょっとコメント、アツすぎやしませんか。いやいや、ただの定食屋だろ。取材班は「温泉食堂」に向かいました。

温泉食堂の外観はまさに「昔ながらの食堂」だけど

温泉食堂はホテル華翠園、ブーゲンハウス嬉野などの近くにあります。外観は、風情ある昔ながらの食堂といった雰囲気です。まさに「温泉食堂」といった感じ。

店内には古い掛け時計や、さまざまなインテリアグッズが置かれており、ノスタルジーある空間になっていました。「食堂」というよりも「老舗の喫茶店」のような雰囲気です。

メニュー表を見ると、ちょっと思っていた内容と違って驚きました。

  • 地鶏のにら玉定食
  • ピリ辛鍋焼味噌チャンポン
  • 五島うどん
  • ピリ辛味噌つけめん
  • ビビンバ風オム丼
  • 和風カレー

……なんだこの独創的なメニューの数々は……。たしかに、焼肉定食やかつ丼のようなオーソドックスな食堂メニューもあるのですが、あまり他の食堂ではお目にかかれなそうなメニューがたくさん。

いったい、どれを頼めばいいんだ……?

そう思った瞬間、大村屋の北川さんのコメントを思い出しました。

大村屋・北川
全種制覇すべき名店です。

そうか、何を頼んだっていいんだ。

取材班はみんなで、思い思いのメニューを頼んでみることにしました。

温泉食堂の気になるメニュー①地鶏のにら玉定食

地鶏のにら玉定食 ¥950

うわぁ……めちゃめちゃ美味しそうな定食が出てきました。

にら玉だけでも魅惑的なのに「地鶏」って、もう反則でしょう。ニラ玉に使われている卵は半熟で、オレンジがかった黄色いビジュアルが食欲をそそります。

新鮮でシャキシャキした歯ごたえのニラがたっぷり。ニラと卵だけでもご飯をバクバクいけそうなのに、地鶏の旨味までプラス。

地鶏が名産の土地に来て食べるようなごちそう料理なんですが、ここは嬉野。それも温泉食堂なんですよね……。

温泉食堂の気になるメニュー②地鶏のから揚げ定食

地鶏のから揚げ定食 ¥1100

から揚げ定食が1100円。ただの定食と思えば「すこし高い」と思ってしまうかもしれませんが、ここは「温泉食堂」です。もちろん、ただのから揚げではありません。

嚙み応えのある、地鶏のから揚げです。

地鶏に「硬い」というイメージがあるかもしれませんが、温泉食堂の地鶏のから揚げは柔らかい印象。はっきりした弾力があって、嚙み応えはしっかりとあります。

そして、噛むと出てくる肉汁は極上。下味がしっかりしていて、ごはんが進む進む。めちゃ美味い。

温泉食堂の気になるメニュー③ピリ辛鍋焼味噌チャンポン

取材日は8月の暑い日でした。

それでも取材班の一人が「どうしても気になる」と譲らなかった「ピリ辛鍋焼味噌チャンポン」は、季節に合わないビジュアルで登場。

ピリ辛鍋焼味噌チャンポン ¥800

器からは「ボコボコボコボコ……!!」と、大きな音が。

沸騰するスープの泡が弾けるたびに、味噌の芳醇な香りが漂います。

今が8月なんて関係ありません。とにかく、目の前にあるこの麺は美味しそう。それでいいじゃないですか。

麺はモチモチで弾力があって美味しいし、スープも本格的。味噌ラーメンの専門店顔負けのコクでした。これは美味しい。

ぼくが知っている、食堂で食べられるレベルのチャンポンではありません。

「何を頼んでも、美味しいぞ……?」

温泉食堂の奥深さを噛み締めていると、次のメニューがテーブルにやってきました。

温泉食堂の気になるメニュー④しょうゆラーメン

しょうゆラーメン ¥600

「これだけ個性的なメニューがあったのにしょうゆラーメン……?」と思うかもしれませんが、実は九州の食堂で「ラーメン」といえば、豚骨ラーメン。

だから、しょうゆラーメンもまた、個性的なメニューなのです。

麺はピリ辛鍋焼味噌チャンポンのときも食べた、モチモチで弾力のある麺。特筆すべきなのは、スープの美味しさ。

煮干しから丁寧にダシをとってつくっているというスープが絶品です。大村屋の北川さんが繰り返し注文するメニューでもあります。これもまた、ラーメン専門店のような美味しさで、食堂のレベルではない気がします。

あなたはこのお店に「温泉食堂」と名付けられる?

CHECK!
  • 独創的で他にはないメニューの数々
  • どのメニューでもひと工夫あって美味しい
  • 実は内装がおしゃれでかわいい

温泉食堂で、さまざまな個性的なメニューを食べて、ぼくはこう思いました。

編集長・大塚
このお店に「温泉食堂」と名付けるの、かなりカッコよくない?

ぼくがもし、自分でこの宝石箱のようなメニュー群で食堂を開くとするならどんな名前をつけるでしょうか。

「たくまキッチン」「たくちゃん食堂」とか、少しは自己主張がしたくなる気がします。なにせ、こんなに個性的で唯一無二なんですから。

でも、ここは「温泉食堂」なのです。あくまで主役は、温泉が湧くこの土地。その飾らなさが、かっこいい。シブい。ロックだと思ってしまいました。

連想するのは、白紙のジャケットで「The Beatles」と名付けられるほどシンプルな見た目なのに、中身はバリエーション豊かな「ホワイトアルバム」。ここは食堂のホワイトアルバムではないでしょうか。

ロックファンにしかわからない締めになってしまいました。まずはぜひご来訪を。

※掲載内容は、取材当時の情報であり、価格、営業時間、メニューなどは変更の可能性があります。現地でご確認ください。

執筆者
大塚 たくま
ライター。嬉野温泉暮らし観光Webガイド編集長。月に一度、嬉野温泉に宿泊した取材活動を2020年から継続中。