嬉野の日帰り温泉5選! 旅館大村屋15代目が選ぶおすすめ立ち寄り湯

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「せっかく嬉野に来たから、日帰り温泉に立ち寄りたい」

「他の旅館の温泉にも入ってみたいな」

「でも、どこの日帰り温泉がいいんだろう……?」

大村屋・北川
嬉野には日帰り温泉として楽しめる温泉がたくさんあります。それぞれで施設はもちろん、泉質にも個性がありますので、楽しんでいただきたいですね。

同じ嬉野温泉なのに、泉質にも違いがあるとは、どういうことなのでしょうか。本当にそんなことがあるのか。

今回は、旅館大村屋15代目の北川健太さんがおすすめする、嬉野温泉の日帰り温泉を巡ってみようと思います!のぼせないように注意しないと……。

嬉野温泉とは?

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嬉野温泉の歴史は古く、なんと1300年以上前から存在が知られていたと言われています。

最古の資料は奈良時代初期に編纂された「肥前国風土記」です。そこには「嬉野に湯の泉があり、人の病を癒す」といった内容が記されています。

泉質は炭酸水素塩・塩化物泉で、90~95度の高温で無色透明の源泉です。「日本三大美肌の湯」として、島根県の斐乃上温泉、栃木県の喜連川温泉とともに名を連ねています。

嬉野の日帰り温泉①コミュニティ温泉「シーボルトの湯」

まず紹介するのは、旅館大村屋に隣接する公衆浴場「シーボルトの湯」です。

この場所は古くから藩営浴場がある場所で、嬉野温泉のシンボル「古湯温泉」として親しまれてきました。その後、施設は2005年に老朽化によって取り壊されます。

しかし、地元市民の要望により、2010年に当時とほぼ同様のデザインで復活。大浴場の入浴料は、大人(中学生以上)450円、子ども(小学生)220円。多くの地元のお客さんに愛されています。

「おはようございまぁす!!」

「朝の風呂が1番よかのぉ~」

開業時間の6時になれば、次々に地元住民がシーボルトの湯にやってきます。早朝にも関わらず、脱衣場はお客さん同士の会話でワイワイガヤガヤ。シーボルトの湯ならではの光景です。

大浴場は2つの大きな浴槽があり、嬉野温泉のとろっとしたお湯を存分に味わえます。

大浴場以外にも貸切湯が5つあり、車椅子のまま温泉を楽しめる貸切湯もある、バリアフリーに配慮された日帰り温泉です。

写真提供:嬉野温泉観光協会

そんな魅力たっぷりのシーボルトの湯ですが、旅館大村屋の北川さんは温泉の他にもおすすめポイントがあるとのこと。

大村屋・北川
他にはないおすすめポイントが、2階の休憩室にあります!

いったい、休憩室に何があるのか……。

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2階の休憩室にはたくさんのテーブルがありました。奥には畳の部屋もあるし、マッサージチェアもあります。広い休憩室で、くつろげそうだなぁと思っていたら……。

なんとテーブルに出前のおしながきが……。そうです、シーボルトの湯の休憩室では、提携店舗の出前をとることができるんです。

おしながきからメニューを選んだら、お店に電話。お店がメニューを調理して、持ってくるまでの間に、1階の券売機で食券を購入します。

稀有な光景

食券は半券をシーボルトの湯スタッフに渡し、そのまま休憩室で待っていましょう。しばらくすると、料理がやってきました。

今回チョイスしたのは、お好み焼ふじ「お好み焼(ぶた)」と「焼きそば」です。

ふじのお好み焼(ぶた)600円

湯上がりに食べる、嬉野の名店ふじのお好み焼、めちゃくちゃ美味しい……。近所のお店なので、焼きたてでホカホカです。

ふじの焼きそば 600円

焼きそばも麺がモッチモチ。ふじ独特のさっぱりとしたオリジナルソースが、麺によく絡んでいます。これが公衆浴場の休憩室で食べられるなんて……。贅沢だ。

他にも嬉野ならではの個性あふれるお店で注文が可能です。シーボルトの湯に行った際には、ぜひ出前を利用してみてくださいね。

※掲載内容は、取材当時の情報であり、価格、営業時間などは変更の可能性があります。現地でご確認ください。 

嬉野の日帰り温泉②湯上がり小宇宙「和多屋別荘」

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和多屋別荘は、嬉野温泉でもっとも大きな規模の旅館です。その敷地面積はなんと2万坪を誇ります。

写真提供:和多屋別荘

そんな和多屋別荘でも日帰り温泉を楽しめます。「御影殿」と銘打った大浴場と、女性用露天の「浮世風呂」があります。

女性用露天「浮世風呂」(写真提供:和多屋別荘)

さらには、湯上がりにゆっくりと和室でくつろげる貸切風呂もあります。

貸切風呂「桜」(要予約、写真提供:和多屋別荘)

貸切風呂は大人2名以上からの予約制です。

和多屋別荘の数ある日帰り入浴の中でもおすすめしたいのが、水明荘という離れにある「湯殿心晶」です。

特筆すべきは、その空間。吹き抜けになった高い天井が気持ちよく、遠い屋根の間に立ちこめる湯気を見つめながら、安らぎの時間を堪能できます。

露天風呂とスチームサウナもあり、極上の空間でじっくりとととのうことも可能です。

充実の日帰り入浴ですが、北川さんによると和多屋別荘にはまだまだ注目ポイントがあるのだとか。

大村屋・北川
和多屋別荘は「湯上がりの過ごし方の豊かさ」も大きな魅力だと思います!ぜひ、湯上がりの時間を満喫してほしいです。

なるほど。和多屋別荘が誇る「二万坪の小宇宙」を、日帰り温泉の湯上がりでもしっかり体感しちゃいましょう。

まず、おすすめしたいのは「BOOKS&TEA 三服」です。

「BOOKS&TEA 三服」は、お茶と読書を楽しむための書店です。すごい本の数だと思ったら、蔵書はなんと約1万冊とのこと。旅館内の書店とは思えない……。

写真提供:和多屋別荘

「三服」の中には嬉野茶農家である副島園本店があり、嬉野茶をいただきながら、読書を楽しめます。なんて最高な湯上がりの時間なんだ……。

大村屋・北川
私のおすすめは、和多屋別荘でデリを買うことです。和多屋別荘の料理人の腕を手軽に味わえるし「三服」の席料が無料になってお得です。

そう聞くと、体験しないわけにはいきません。

……ということで、Made in ピエール・エルメ和多屋別荘に併設している、ローカルデリカテッセン季設へ。ぼくは和多屋別荘のレストラン「李荘庵」のおろしカツ弁当(800円)を購入しました。(ラインナップは日々変わります)

副島園本店のレモングラス緑茶(550円)と一緒にいただきます。

甘みのある大根おろしに、サクッとした食感と柔らかさが同居した衣、脂身が少ないのに柔らかく、しっかりと旨味が感じられる豚肉……。

そして、付け合わせのブロッコリーが小さいのにしっかりとシャキッとした食感を感じられる茹で具合。それはまさに「一流の仕事」でした。めっちゃ美味しい。確かにこのデリはお買い得です。

さらに和多屋別荘には、充実した湯上がりの時間を過ごせる、さまざまな体験プログラムがあります。

オリジナルのフレグランスバッグを創れる「Yohaku Lab 創香室」(要予約、一人4,400円)や、オリジナルインクを創って、文学作品を写し書きをする「色写経室」(要予約、一人4,400円)など、日常から離れて自分と対話できるようなプログラムが多いのが特徴です。

色写経室

筆者としては、和多屋別荘で「何もしない」というのも、おすすめです。和多屋別荘には「誰でも座っっていいめっちゃいい椅子」がたくさんあります。

大浴場のそばで優しい陽の光を浴びながら、ゆっくり座ってもいいし。

なんなら、ちょっと横になってもいい。

なにせ和多屋別荘のキャッチコピーは「二万坪の小宇宙で過ごす特別な時間」です。湯上がりに、館内で「ただ何もせずくつろぐ」というだけでも、和多屋別荘の「小宇宙」は、体感できると思います。

日本の伝統的な芸術と、先進的な感性が混ざり合った唯一無二の空間をぜひ心ゆくまで味わってみてください。

※掲載内容は、取材当時の情報であり、価格、営業時間などは変更の可能性があります。現地でご確認ください。

嬉野の日帰り温泉③急須で注がれる茶風呂「和楽園」

和楽園は、昭和48年に創業した旅館です。旅館大村屋から徒歩5分の場所にあります。

大村屋・北川
和楽園の日帰り温泉の見どころは「茶風呂」です。嬉野茶と温泉の掛け算を味わえるお風呂は面白いですよ。

温泉だけでも大満足なのに、まさかの「茶風呂」。その発想はなかった。いったい、どんな感じなのでしょうか。

大浴場「滝見の湯」(写真提供:和楽園)

和楽園の大浴場は「滝見の湯」の「華の湯」の2種類があり、朝夕で入れ替え制になっています。

15時ごろに内湯に入りました。大きな窓から光が差し込み、湯気の粒子が舞う様子を見ながら、ゆったりと温泉を堪能でき、最高……。

期待の「茶風呂」があるのは、露天風呂です。

写真提供:和楽園

温泉からは、湯気と一緒にほのかにお茶の香りが漂ってきます。湯船には、急須から温泉が注がれていました。

写真提供:和楽園

かわいい。湯呑みのお茶に浸かっているみたいです。

写真提供:和楽園

急須の中には本当に、毎朝入れ替えている嬉野茶のパックが入っており、吐水口からは嬉野温泉で抽出された嬉野茶が出ています。思わず飲みたくなりますが、飲用ではありません。

写真提供:和楽園

さらに浴槽のそばには茶パックが置かれており、個人個人で「追い嬉野茶」が可能です。茶パックを温泉に浸すと、嬉野茶の鮮やかな緑色が手のひらに……。

写真提供:和楽園

茶パックに顔を近づけると、湯気と共に爽やかな甘い香りに包まれました。まるで茶畑の中で温泉に浸かっているみたい。これが、和楽園ならではの「嬉野」です。

和楽園でお茶風呂がスタートしたのは、1996年9月。和楽園の社長と嬉野茶農家の方が一緒に「嬉野茶を使って何かできないか」と考えていたときに「お風呂にお茶を入れてみよう」と思いついたそうです。

写真提供:和楽園
大村屋・北川
「温泉の中にお茶を入れる」というと、シンプルなアイディアに思えるかもしれませんが、清掃や管理の面でも、やり続けるのは結構大変だと思います。覚悟がないとできないお風呂です。

和楽園では、温泉の清掃や管理に関わる業務をする方々のことを「湯守人」と呼んでいます。清潔な茶風呂に毎日入れるのも「湯守人」の方々のおかげです。感謝しながら、癒しの時間を堪能しました。

嬉野茶の香りに包まれて温泉に浸かっていると、冷たい嬉野茶が飲みたくなってきますよね。

脱衣所から出ると、冷たい嬉野茶が提供されていました。なんて、嬉しいサービス。湯上がりの冷茶、やっぱり美味しい……。

和楽園の日帰り温泉は、身体の中からも外からもたっぷりと「嬉野」を享受できます。ぜひ体験してみてください。

※掲載内容は、取材当時の情報であり、価格、営業時間などは変更の可能性があります。現地でご確認ください。

嬉野の日帰り温泉④大自然の絶景温泉「椎葉山荘 しいばの湯」

「椎葉山荘」は、嬉野温泉街から少し離れた静かな山あいにある宿です。

嬉野温泉は街中にある温泉で、大自然を感じながら入れるような温泉宿はほとんどありません。そんな中で、自然に溶け込むような「椎葉山荘」の存在は貴重です。

そのため、嬉野温泉街に住んでいる方々の利用者も多いのだとか。旅館大村屋の北川さんも、ファンの一人。

大村屋・北川
とにかく大自然の中にある露天風呂が最高なんですよ。ぼくも疲れた時は、癒されるために行きます。そういう旅館関係者も多いんじゃないでしょうか……笑

実際に入ってみて、驚きました。

写真提供:椎葉山荘

大自然の中だからこその、開放感のある広い露天風呂。湯船から見える、広い空に吸い込まれそうになります。

周囲を取り囲む木々の緑と、そこから差し込む陽の光。露天風呂の外からは自然の川の音が聞こえ、遠くから鳥の声が響きます。

写真提供:椎葉山荘

「ここは本当に嬉野……?」

旅館大村屋のある、嬉野温泉街から車で8分程度で到着するのが嘘のよう。すごく遠くに来たような、不思議な気分です。旅先から、またさらに小旅行に来たような。

こんな温泉が日帰り入浴で楽しめるというのは、贅沢です。旅館関係者がこっそり癒されに行くというのも納得。素晴らしい日帰り温泉でした。要チェックです。

※掲載内容は、取材当時の情報であり、価格、営業時間などは変更の可能性があります。現地でご確認ください。

嬉野の日帰り温泉⑤極上のトロトロ湯「嬉泉館」

嬉泉館は創業40年を超える宿で「九州八十八湯温泉めぐり」にも選ばれています。嬉野を訪れる温泉マニアなら避けては通れない、名湯なのだとか。

しかし、そのお話を聞いて、ぼくは疑問に思いました。「同じ嬉野温泉なのにお湯に違いなんてあるのだろうか」と……。北川さん、どういうことですか?

大村屋・北川
温泉のお湯の感じ方は、宿の管理体制によっても大きく異なるんです。とくに嬉泉館さんは、お湯のトロトロ具合が別格ということで、嬉野の旅館関係者の中でも有名です。

それって、温泉玄人同士だからわかるようなわずかな違いで、ぼくじゃわからないのでは……。まあ、でもこればっかりは入ってみなきゃわからない。

岩風呂になっており、信楽焼のタヌキがいい味を出しています。壁まで岩が敷き詰められており、風情は抜群。お湯は普通に見えるんですが……。

編集長・大塚
すごい、本当にトロトロだ!!温泉素人の自分でも、明らかにお湯の感触の違いがわかる。

お湯を絡めて肌に触れると、ヌルヌル具合がまったく違います。すぐに温泉の膜で肌が包まれるような感覚があり、みるみるうちに身体全体があったまってきます。なんなんだ、これは。

嬉泉館のこだわりは、管理体制にあります。嬉野温泉は源泉の温度が90度〜95度くらいあるので、入浴できる温度にするためには冷まさなければなりません。

効率よく冷ますために加水を行うのが普通ですが、嬉泉館では加水を行わない方針です。そのため、毎晩お湯を抜いて清掃し、夜のうちにお湯をため、一晩かけて冷ますのだとか。

温泉は飲水も可能

夏は冷めにくく、冬は冷めやすい。そんな季節の違い、天候の違いを察知しながら、長い時間をかけて湯加減を調整する仕事は職人芸です。

嬉泉館にはあつ湯とぬる湯があります。ただでさえ温度調整が難しそうなのにも関わらず、2パターンの温度を準備しているのは凄い。

嬉泉館のオーナー、白川晃之さんにどのように管理をしているのか、お話をうかがってみました。

編集長・大塚
源泉を長時間かけて冷ますという温度管理で、あつ湯とぬる湯があるのは凄いですね。どうやって、温度の差を作り出しているんですか?
嬉泉館・白川晃之さん
ぬる湯の浴槽は、窓に近いんですよ。窓を開けてお湯を外気に触れさせることで、冷めやすくなっています。あとは熱い源泉を入れる量で調整していますね。
編集長・大塚
とてもアナログな方法。理屈はわかるけど、実際にやるのは難しそう……。
ぬる湯
大村屋・北川
少なくともそれなりの規模の大浴場では、同じ方法で管理はできないでしょうね。大村屋の場合は、貸切風呂は大きくないので、同じように事前にお湯をためて、時間をかけて冷ます方法をとっています。それでも冷めない時はやむを得ず、加水します。
編集長・大塚
つまり、加水しないことがこのトロトロ感の要因だったということですか?
大村屋・北川
いえ、それだけではありません。「嬉泉館のお湯はよく練れている」と言われていまして……。練れているからこそ、このトロトロ感が実現できていると言われています。
編集長・大塚
「お湯が練れている」ですか……。初めて聞く表現です。
大村屋・北川
一晩お湯を置いているということも、要因の一つだと思います。「お湯を練る」ためには、なるべく空気に触れていることが重要だと言われているんですよ。空気に触れさせるために何かされていますか?
嬉泉館・白川晃之さん
エアリフト式で自家源泉を浴槽まで上げているんですよ。それでお湯と空気が触れあいます。そこも「お湯が練れている」要因かもしれません。
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エアリフト式ポンプを見ながら話し込む

温泉の温度管理だけでなく、自家源泉の管理まで手を抜かずにやっているからこそ、あのような温泉になっているのだと思います。これを日帰り温泉で体感できるのはかなり贅沢ですね。

嬉野でとくにトロトロなお湯を体感してみたい方は、ぜひ足を運んでみてください。

※掲載内容は、取材当時の情報であり、価格、営業時間などは変更の可能性があります。現地でご確認ください。

もちろん旅館大村屋の日帰り温泉もおすすめ

photo koichiro fujimoto
大村屋・北川
……とまぁ、嬉野のさまざまな日帰り温泉をご紹介してきましたが、もちろん旅館大村屋の日帰り温泉もおすすめです。
編集長・大塚
そうですよね! しっかり紹介しましょう。

大浴場では、豊かな自家源泉が大きな浴槽にたっぷりと注がれています。

photo koichiro fujimoto

大村屋の浴槽は、他の大浴場と比べて深いのが特徴。

寝そべろうとしなくても、普通に浴槽に腰掛けるだけで、肩まで浸かれます。温泉地ならではの豊かな湯量を感じられる、大浴場です。

photo koichiro fujimoto

日中なら大きな窓から光が差し込み、開放的な気持ちでゆったりと美肌の湯を堪能できます。そして、特筆すべきなのは半露天風呂。

photo koichiro fujimoto

半露天風呂もしっかりと深く、大村屋ならではの深さはそのまま。

外の風景が額縁に入った油絵のように見えます。外が晴れでも雨でも楽しめます。雨の日は美しい雨音が聞こえ、晴れの日は差し込む光が心地よい。そんな、全天候型の半露天風呂です。

photo koichiro fujimoto

さらに注目なのは、半露天風呂に擬態した岩スピーカー!ここからはなんと、くるりの岸田繁さんが大村屋の半露天風呂のために制作した入浴専用音楽が聞けるようになっています。

雨の音。風の音。川のせせらぎ。お湯の音。桶の音。そして、美しい入浴専用音楽……。それらはどれも主張しすぎることがなく、なじんでいるのです。五感で楽しむ大浴場となっています。

加えて、旅館大村屋は4タイプの貸切風呂も人気です。

旅館大村屋のコンセプトは「湯上がりを音楽と本で楽しむ宿」。温泉に浸かった後は、音楽や読書を楽しみ、充実した時間を過ごせます。

地下1階の大浴場を出てすぐ見えるのは「湯上がり文庫」。ここは、ただ自由に読める本が置いてあるだけではありません。

嬉野や大村屋に関係のある方々が蔵書を提供しているという、オリジナル本棚です。本棚には誰が選書した本なのかが書かれてあり、人との繋がりを感じながら、読書できます。

さらに1階の貸切風呂の前の湯けむりラウンジでは、17時から「Music Bar OOMURAYA」がオープン。

ハイエンドオーディオが奏でる音楽を聴きながら、地元の新鮮なフルーツなどを使用したフレッシュカクテルを堪能できます。

大村屋・北川
日帰り温泉のお客様でも、湯上がりの時間を満喫できますので、ぜひお越しください。レコードのご持参も歓迎です!

温泉とは肌で味わうグルメである

嬉野温泉でさまざまな温泉に入り、いろんな宿のお話を聞く中で、「温泉とはなんて贅沢なものなんだろう」と考えていました。

お風呂は温泉地でしか入れないわけではありません。日本人なら多くの一般家庭にお風呂はついています。飲めるほどのきれいなお湯で、お風呂に入れるのです。

それでも私たちは「温泉」を求めます。食べたり飲んだりするわけではないお湯の水質の変化を楽しんでいるのです。

そのために、私たちは旅をするし、その楽しみを守るために「湯守人」として懸命に働いている人もたくさんいます。

photo koichiro fujimoto

この取材をするまで、ぼくはどこかで「温泉地は湧いたお湯で商売ができるからラッキーだ」と思っていました。しかし、それは違ったようです。

湧いただけでは何もできない。源泉を掘るのにも、お湯を引き込むにも、管理するのにも、たくさんの労力がかかるのです。その横で、水道もガスも通っているのに……。

温泉を入れるようにしてくれたたくさんの人たちの努力。そして、そこに足を運んだ自分。そんなこだわりの連鎖の結果、幸せな入浴があるのだとわかりました。

ぜひあなたも、嬉野で極上の美肌の湯を体感してみてください。

執筆者
大塚 たくま
ライター。嬉野温泉暮らし観光Webガイド編集長。月に一度、嬉野温泉に宿泊した取材活動を2020年から継続中。